見返りを求めたらあかん!

見返りを求めたらあかん。


中学生の時だったと思います。こんなことを母に言われたことがあります。


その時の状況を今でもはっきり覚えています。
母にお金を貸して欲しいといって訪ねてきた人がいました。
頼んできた人が吹雪の中をバイクで訪ねてきていたことを考えると、よほど逼迫した状況だったんだと思います。
その人はすごく感謝して、必ず返しに来ますといって帰っていきました。


私が居間でテレビを見ていたときに、急に起こった出来事でした。
当時の私にとっては、衝撃的な事件で、そんな状況にあるその人をかわいそうだと思い、あっさりとお金を貸した母を誇らしく思った記憶があります。


その人が帰った後、母にそのことを聞くと、
母は貸したのではなく、あげたのだと言っていました。


理解できなかった私は、その意味を聞くと、
母は、貸したら返して欲しくなるし、返ってこなかったら相手を憎むことになる。
「あんたも友達とか弟になんかしてあげても、返して欲しい思たらあかんで。
それやったら最初から何もせえへんほうがましや」
こんなことを言われたと思います。
また、お金をあげることは必ずしもいいことではない。とも言っていました。


日常の生活の中で、誰かに何かをしてあげることがあります。


こないだ奢ったんやから、今度は奢ってくれるやろう。
これだけの時間を割いて一生懸命に営業したんだから今度は契約してくれるだろう。
これだけのプレゼントをしたんだから、振り向いてくれるだろう。


とついつい期待をしてしまいます。


しかし、時にその期待は裏切られます。


いっつも話聞いたってるやん?
あんだけ喜んでくれてたやん?
前に約束したやんか?
こちらは御社のご希望どおりの条件を提示しました。それなのになぜ?話が違うんじゃないですか?


無償の愛情、無償の友情、無償の仕事


こんなことをできるのは、マザーテレサかトキ(北斗四兄弟の次男)くらいでしょう。


最近、恋愛・友達関係・仕事でいろいろなことが起こりすぎました。
私はそのどれもがうまくいくことを期待して行動していました。
うまくいくにはどうしたらいいか?というのを考えすぎていたのかもしれません。
しかし、自分の思い通りにいくことなんてそうありません。


今日、はるか昔の母の話を思い出せたことを感謝して、
明日からは、自分のする行為に対する見返りは求めず、誰かがしてくれる行為に感謝の気持ちを忘れず、日々の生活を楽しんでいくことにします。


あっ・・・。
あかん、貸したものを返してもらうのが仕事やった・・・。